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アドリア海の波長について

ヴェネツィアに来て、もう三週間以上が過ぎた。

イタリアの大学やら役所やらの手続き・認可は、当然のごとくイタリアの時間の流れに乗って進む。スローフード運動の発祥地、イタリアには効率化・高速化を尊ぶ考え方は存在しない。というより、どんなに頑張っても早く動けないので、開き直っているものと見られる。この地では役所の手続きだけでなく、食事の時間もエレベーターが動き出すのもスマートフォンの接続速度も何もかもが遅い。

自販機でコーヒーが出てくるのまで遅い。大学内の一杯50セントの自販機ですら、金を入れてボタンを押したら自販機の中で豆を挽く音がし始めるという徹底ぶりである。するともう、速いのはフェラーリやランボルギーニくらいのものかとも思ったが、これはよく故障して立ち往生しているので、結果的にはやはり遅いということで特に問題はない。

だいたい、日本で出発の準備をする間にも、研究ビザ発給のために必要なイタリアの役所(移民統合事務局)の認可が下りるまでにやたらと時間がかかり、予定していた出発を二週間遅らせたということがあったのだった。そのときからこうなる予感はしていたが、現地へ到着してみると、これはもう、何もかも諦めるほかはないという余裕の生活リズムである。

というわけで、三週間を経てやっと大学内で自分のパソコンをネットに繋げるためのIDが発行された。ちなみにまだ正式な身分証が発行されていないので、図書館に入ることはできない。こちらでお世話になっている先生の権威を利用して入れないこともないらしいのだが、貸出ができないのであれば結局気休めにもならないだろう。私もイタリアに毒されつつあるのか、もう、そこまで急いで何かをしようという気にもならない。暇に任せてブログを始めてみた所以である。

これまでの三週間、音沙汰がなかったからといって心配するような人もないのであるが、実際のところ何にも仕様がないので、昼間からワインを飲みながら、アパルタメントの掃除やら勉強やらをしていただけなのであった。